あいつ。

イチロウ

2011年10月06日 13:46



入学したばかりの頃、

気になるヤツがいた。

なんとなく虫が好かない男。

そいつはいつもカッコつけてて、

髪型ばっかり気にしてるようなヤツだった。

高山駅から自転車で斐高に向かう彼を見るたび、

なんとなくイラッとした。

女にモテそうなヤツだった。

サッカーが上手いと評判だった。

うちらの学年、岐阜には、サッカーの名プレーヤーが二人居る、と。

その二人はタイプが真逆で、

『剛の○○、柔の〇〇』と呼ばれているらしい。

イラッとするヤツがその『柔の○○』だという噂だった。

信じたくなかったけど、事実みたいだった。

ある日、そいつが教室に来て僕を呼び出した。

『イチロウって人おる?』

意外だった。

『タケノブ君が呼んどるよ。』

タケノブ君はいっこ上の先輩で、幼なじみの、兄貴みたいな存在。

なにも俺を呼びだすのに、よりによって、こいつを使わなくても。。。

って思ったけど、実はそいつが俺に

『タケノブ君が呼んどるよ。』って話しかけてきた瞬間に、

勝手にそいつを嫌ってた気持ちは、すぅーっと軽くなってきてた。

階段の踊り場で二人を前にしたタケノブ君は、

二人がまだ友達になってないとは思ってなかった、みたいな事を言ったと思う。

結局、タケノブ君目線で2人が等価なら、友達になるべき??みたいな流れだったのか。。。

とにかくそいつが僕が斐高で得た友のなかでも最重要人物になるのだから、

わからないものである。


ケロ


卒業して20年、頻繁に連絡取り合うわけじゃないけど、

親友と呼べる数少ない存在。


東京時代はアパートに泊まりくるたび、

電気を消して、二人で天井眺めながら、

宇宙のことについて語り合って眠れなくなったものだった。

その時語り合った互いの宇宙論が、

今振り返ると、それほど間違ってなかったことにあらためて驚くのだが、、、。

振り返ると、ケロほど僕の話を熱心に聞いてくれたヤツはいない。


田之本先生に勧められて観た"a river runs through it"

ブラッド・ピット演ずる主人公は、

魚を釣るという行為において完璧な『美』を体現する青年、

として描かれている。

僕はサッカー選手としてのケロをオーバーラップして観ていた。

結局、僕はケロの『美しさ』に嫉妬していたのかもしれない。


上京したばかりのこと、

ケロとケンスケと新宿のアルタ前で待ち合わせした。

3人揃って話していたら、もんのすげー可愛い女子高生2人組から声をかけられた。

『一緒に飲みませんか、、、?』

いわゆる『逆ナン』をされたのである。

明らかに、イチロウの力でもなく、ケンスケの力でもなく、ケロの力だったと思う。


普通、県で1.2を争うくらいサッカー上手かったらJリーガーになるでしょ?

でもケロはならなかった。

ケロは絵を書くのが好きで、そっちもすごく才能があった。

ケロはグラフィクデザイナーになった。

ケロらしいな、と思う。











ケロ、

同窓会の幹事なんて、らしくないことして、、、って笑っとるんやろ?

俺もなんでこんなこと引き受けたか、わからんよ(笑)

でも、なんとなくやけど、、、


わかってきたよ。











Share to Facebook To tweet